主張

ゴーン被告逃亡 保釈を認めたのが誤りだ

日本の刑事司法を揺るがす事態である。特別背任などの罪で起訴後、保釈中だった日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が海外逃亡した。

被告が国籍を持つ中東のレバノンにいると声明を出し「司法から逃げたのではない」などと自己弁護しているが、不正な手段で逃げたのは明らかである。法務、外交当局などは総力を挙げ被告を日本に帰国させ、早期勾留を図らねばならない。

東京地裁はゴーン被告の保釈を取り消した。保釈金15億円が没取されるのは当然としても、保釈を認めた地裁の判断が適切だったのか厳しく問われよう。弁護側の責任も重い。保釈が認められるのは、逃亡や証拠隠滅の恐れが高くない場合に限られる。そのどちらも懸念されていたことである。

弁護側は保釈後の国内住居に監視カメラを設置するなどの条件を提示して保釈決定に結びつけた。海外渡航禁止の条件で保釈されており、パスポートは弁護団があずかっていたという。だが結局、海外逃亡まで許した。悪意を持って企てれば、保釈にどんな条件や手立てを講じても無になる。それが分かっても遅きに失した。

保釈を許可する割合(保釈率)は平成20年の1割台から29年の3割台へと10年で倍以上に増加した。保釈中の被告が凶悪事件を起こす例も相次いでいる。

ゴーン被告をめぐっては長期勾留に海外のメディアから批判が強かった。外圧に屈しての保釈判断もあったとしたら真相解明とともに、社会の安全や公平性を守る刑事司法の目的に反しよう。

出入国在留管理庁のデータベースにはゴーン被告の出国記録はなかった。楽器の箱に隠れ、プライベートジェット機を使って無断出国した疑いも出ている。出入国管理法違反などについての捜査が、当然必要だ。

被告の逃亡先のレバノンと日本の間には犯罪人引き渡し条約は結ばれておらず、レバノン政府の理解を得られないと、被告は引き渡されないという。

レバノン側に働きかけるのはもちろん、国際的な手配など、あらゆる手段を講じ、被告に法廷で真相を語らせなければならない。

世界的に注目されるゴーン被告の逃亡を許し「日本の刑事司法の恥を世界にさらした」との厳しい見方もある。逃げ得を許しては司法の信頼が失墜する。

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