3日に公表された2018年の国際学習到達度調査(PISA)。学力テストとともに行われたアンケート調査では、日本の高校1年生の約8割が、授業でパソコンやタブレットなどのデジタル機器を「利用しない」と回答し、この設問に答えた経済協力開発機構(OECD)加盟の31カ国中、利用率が最も低かったことが分かった。ただ、ゲームやネット上のチャットを利用する割合は最も高かった。
アンケートを分析した結果、教室で行われる1週間の授業でデジタル機器を「利用しない」と回答した割合は、国語83・0%(OECD平均48・2%)、数学89・0%(同54・4%)、理科75・9%(同43・9%)で、いずれも際立って高かった。
学校外でも勉強目的での利用は低調で、毎日あるいはほぼ毎日「コンピューターを使って宿題をする」割合は3・0%(同22・2%)、「学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る」も6・0%(同23・0%)にとどまり、いずれも最下位だった。
一方、毎日あるいはほぼ毎日「ネット上でチャットをする」は87・4%(同67・3%)、「一人用ゲームで遊ぶ(同)」は47・7%(同26・7%)と、遊びなどではどの国より盛んに使われていた。
国立情報学研究所の新井紀子教授は、チャットは短文でのやり取りが多く、読解力の向上にはつながらないと指摘した上で、「学校でもパソコンでリポートを作成させるなど生産的な使い方をさせるべきだ」と求める。
学校での利用機会が少ない現状について、文部科学省の担当者は「しっかり改善をしていかないといけない」と強調。国は今後、1人1台の学習用コンピューター配備や学校内での通信ネットワーク整備を推進する方針だ。