白煙をあげて黒焦げになった木片、焼け落ちた朱色の壁、土台部分がむき出しになった木造建築…。31日未明に大規模な火災が発生した那覇市の首里城。取材ヘリに乗り、上空から現場を取材すると、豪華絢爛(けんらん)な琉球装飾と独自の建築様式で築かれた「沖縄のシンボル」は、見るも無残な姿に変わり果てていた。(小松大騎)
那覇空港から首里城上空へと向かったのは31日午後1時半ごろ。ヘリの男性機長から「正面に見えているのが首里城です」と告げられ、あぜんとした。首里城の中心的な木造建築物である「正殿」は跡形もなく焼け落ち、土台部分だけが痛々しく残っていた。焼けて折れた正殿の木柱のそばでは、消防隊員が必死で放水活動を行う姿があった。
正殿付近では、粉々になった黒い木片の塊が散らばり、いまだに白煙がくすぶっていた。首里城の上空450~600メートルを旋回しながら、首里城の全体をぐるりと見渡す。あちこちに黒こげの木片やれんがが飛び散っており、鎮火まで約11時間を要したという火災の激しさを物語っていた。
正殿の正面に位置する「奉神門」は、ほぼ原形をとどめていたが、朱色の壁と赤れんがには、すすや砂ぼこりが付着。近くには赤い鳥居のような残骸も散らばっていた。正殿そばにある「北殿」は、屋根の赤れんがや朱色の側壁が焼け焦げ、骨組みがあらわになっていた。