来年開催される東京五輪の大きな転換点となるのか。30日、東京都内で始まった国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会の合同会議では、マラソンと競歩の札幌変更案を何とか阻止したい都の確固たる意志が明確になった。しかし、国や大会組織委員会からの援護はなく、「ワンチームで」と訴える小池百合子都知事の掛け声がむなしく響いた。札幌案を覆すのは難しいとみられるが、札幌も暑さでは難があり、大会の成功は約束されていない。
■知事の孤軍奮闘
緊張感が漂う会合だった。この日の調整委では、IOCのジョン・コーツ調整委員長が「札幌変更を決定した。東京都民の協力をたまわりたい。皆さまが受け入れ可能な形でどうやったらできるか整理したい」と口火を切った。
一方、小池知事は英語と日本語を交互に使って真っ向から反論した。
「(東京開催に向けて準備を進めてきた)選手や地元の人の気持ちをないがしろにはできない。ワンチームで大会を成功させたいという強い思いは、この場におられる皆さんの共通の思いだ」と述べ、コーツ氏側をにらみつけるような視線を送った。
組織委の森喜朗会長は「選手への健康の配慮という観点でIOCの気持ちも重々わかる」と札幌案に理解を示す。同席した橋本聖子五輪相は立場を明らかにせず、小池知事の孤軍奮闘ばかりが目立った。
■振り回される都
IOCの強硬姿勢は先週にもみられた。
「なぜ謝罪する必要がある? アスリートのためだ!」。25日の小池知事との会談後、謝罪はしたのかと質問した記者に対し、コーツ氏は語気を荒らげた。