台風19号による記録的大雨で甚大な被害を受けた福島県伊達市では25日、土砂降りの中、被災者たちが悪天候の中、片付けを急いでいた。
雨に打たれながら1人で片付けをしていた同市梁川町に住む男性(70)の自宅は、1階の天井近く2・4メートルまで浸水した。被災から2週間が過ぎる今も片付けは終わらない。「手伝いに来てくれる若い人は、週末しか休めない。そこが雨だとお願いすることもできない」と困惑の表情を浮かべた。
全国有数のニット生産地として知られる伊達市では、複数のニット工場が被害を受けた。同市梁川町に本社がありニット製品全般を手がける「セントラルニット」では、第2工場が約1・8メートル冠水した。この日は雨の中、スタッフが水没した設備の整理などに追われていた。
同社の大橋義顕会長(74)は「こんなのは初めて。(昭和61年の)8・5水害のときも浸水は10センチほどだった。誰も予想していなかったのでは」という。工場では編み機21台、編み機を制御するコンピューター5台が水没し使えなくなった。大橋会長は「修理できるのか調べてもらうため、編み機を製造元に送り始めたところ。土日には15台を運び出す予定」と話す。
26日には台風の直撃から2週間を迎える。「一刻も早く生産が再開できるようにしないと。そのためには、雨でも運び出すしかない。大雨でも片付けるしかない」。大橋会長はそう言って空を見上げた。