9月の内閣改造・自民党役員人事で、参院自民の実務を取り仕切る参院幹事長に世耕弘成前経済産業相が就き、安倍晋三首相と参院自民の「距離感」に関心が集まっている。首相と近い世耕氏が主導する参院自民党の新体制の背景に、参院への影響力を強めたい首相の思惑を感じ取っているからだ。
「独自性」「中立性」にこだわった過去
政治史をひもとくと、参院自民党は、時の首相もその意向に配慮せざるを得ない、衆院とは異なる独自性を発揮してきた時期がある。「派閥の論理」にとらわれない閣僚人事を断行した小泉純一郎元首相でさえ、参院議員会長や参院幹事長を務めた青木幹雄氏の意向は受け入れ、「参院枠」から登用していたのは有名だ。
参院は首相による解散権もなく、事実上6年間の任期と議員活動が保障されており、衆院と比べ首相の権力が及びにくいと考えられる。
ただ、参院は存在感が低下すると、「衆院のカーボンコピー」と揶揄(やゆ)され、「参院不要論」すらささやかれる。そのため、衆院とは一線を画した「物言う参院」「熟議の参院」として独自性を示してきた。