めざせノーベル賞 子供の心に科学の火を点すきっかけは

子供のころから本や実験などで科学に親しみ、リチウムイオン電池の開発を成し遂げた吉野彰さん
子供のころから本や実験などで科学に親しみ、リチウムイオン電池の開発を成し遂げた吉野彰さん

 今年のノーベル化学賞に決まった旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)が科学に興味を持ったきっかけは、小学校の先生に薦められた本「ロウソクの科学」を読み、自然の原理に触れたことだった。興味の方向により、さまざまな進路に未来が広がる子供たち。その心に科学の火をともすには、どうすればよいのだろうか。(木ノ下めぐみ)

科学道100冊

 「ロウソクの科学」日本語版を出版している岩波書店によると、同書は昭和8年に発行され、累計発行部数は71万部。英国の科学者、ファラデー(1791~1867年)の講演をまとめたもので、ロウソクの燃焼だけでなく、さまざまな現象が科学的に解説される。担当者は「身近な現象を非常に分かりやすく解説し、多くの読者に読み継がれている」と語る。

 「科学に興味を持つとっかかりとして、本は重要なツール」と話すのは、理化学研究所広報室の生越(おごし)満室長だ。同研究所は今年9月、中高生向けの「科学道100冊」を発表した。

 研究者らから科学に興味を持つきっかけになった本や、大人になる前に出会ってほしい本を募り、100冊を厳選。同研究所の職員の多くが科学の本に感銘を受け、何度も読み直した経験を持つ。

 生越室長は「科学者の思考や生き方が伝わる作品ばかり。科学の種は多くの本に潜んでいる」という。

実験の精神

 一方、大正13年創刊の学習雑誌「子供の科学」(誠文堂新光社)の土舘(つちだて)建太郎編集長(41)は「科学の原点となるのは、実験の精神。自分の目で見て、やってみることで気づくものがある」と指摘する。

 吉野さんも子供のころ、トイレ掃除用の塩酸にくぎを入れて水素が発生する様子を観察するなどしていたという。「子供の科学」でも実験を重視しており、難しいテーマでも、子供が読んですぐに実践できる実験を提示している。

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