16歳の環境保護少女をもてはやす「大人たちへの違和感」

 国連「気候行動サミット」で地球温暖化に警鐘を鳴らしたスウェーデンの少女、グレタ・トゥンベリさん(16)の演説が世界的な話題となった。ノーベル平和賞候補との下馬評も立ち、日本のテレビや新聞でも称賛が相次いだ。ただ、その極端な主張や、周囲の異様な持ち上げ方をいぶかしむ向きもある。

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 学校の授業をボイコットし、議会前で地球温暖化阻止を求める座り込みなどの活動を始め、若者による世界的な運動の火付け役となったグレタさん。国連本部のある米ニューヨークにも、二酸化炭素を排出しないとされるヨットで2週間かけて大西洋を横断したことも話題となった。

 各国指導者を前にグレタさんは、温暖化により「人々は苦しみ、死にかけている。私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ」などと主張。「あなたたちには失望した。しかし若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている」と語気を強めた。

 グレタさんの言動を日本のテレビや新聞はほぼ手放しで持ち上げた。一方でネット上では《ああいう場であのパフォーマンスができたことも含めて感動した》とする意見もある一方、《大人にいいように操られている》と周囲の持ち上げ方に違和感を示す声もあるなど賛否両論だ。

 エネルギー問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は、「環境保護運動が過激化するなかで、グレタさんへの賛美を懸念している」と話す。

 地球温暖化による「絶滅」といった言葉遣いについて石井氏は、「全てを過激に解釈している。17世紀の産業革命期から現代までの間、気温は1~2度上昇したが、人類史上、最も成長した時代でもあった。気温上昇のマイナス面もあるが、寒冷地に住みやすくなったり、農業生産が拡大するなどプラス面もあった」と指摘する。

 グレタさんの演説では、「お金」や「経済成長」を敵視するような発言もあったが、「経済成長と環境問題は二律背反ではない。経済的な余裕を持ってはじめて環境問題に取り組むことができる側面もある」と石井氏は語る。

 グレタさんは「もう1つのノーベル賞」と呼ばれ、人権や環境保護などの分野で貢献した人物に贈られるスウェーデンの「ライト・ライブリフッド賞」も受賞。今年のノーベル平和賞の候補に名を連ねているとの報道もある。

 注目度が集まるばかりのグレタさんだが、前出の石井氏は「『ナイラ証言』を思い起こすべきではないか」と訴える。

 「ナイラ証言」とは、イラクがクウェートに侵攻した1990年当時、ナイラを名乗る15歳の少女がイラク軍の蛮行を涙ながらに訴えたことを指す。この発言が国際世論を動かし、米国の介入を促して91年の湾岸戦争に発展するきっかけとなったといわれている。

 ところが、のちにナイラなる人物は実在しないことが判明、発言も虚偽だった。クウェート側の広報戦略だったと指摘されている。

 グレタさんが抱く思いは疑いようもないが、周りの大人たちに利用されていたとしたらなんともやりきれない。

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