必死にもがいたシーズン。それでも負傷者リスト入りした選手が30人も出た中で、田中はメジャー移籍後初めて故障せずにローテーションを守った。メジャーデビューから6年連続2桁勝利は日本投手初。地区Vの立役者の一人になった。
「結果としてはいい。これまでも努力はしてきたが、結果的にけがで離脱してしまうことがあった。もちろん長いシーズンを戦っての結果なのでうれしいし、プレーオフがやっぱり大事」
地区優勝は通過点。田中は過去2年のポストシーズン(PS)で4戦3勝、防御率1・50と勝負強さは実証済みだ。
「選手の出入りが激しいし、顔触れも変わっている。本当にいいチームだし、あとは結果を出していくしかない。それだけのタレントはそろっている」
メジャーリーグでは10月のPSで活躍する選手を『ミスター・オクトーバー』と呼ぶ。名門復活へ。短期決戦に強い田中が、09年以来10年ぶり28度目の世界一に導く。
★控え選手が次々に活躍
ヤンキースの合言葉となった「NEXT MAN UP(次は自分の番だ)」が、故障した主力を控えがカバーした今季の戦いぶりを象徴していた。昨季まで通算2勝のヘルマンがチームトップの18勝。開幕から長期離脱した昨季19勝のセベリーノの穴を埋めた。野手ではラメーヒューが1番に定着し、打率・329。右肩手術を受けたアンドゥハーの代役ウルシェラは打率・323、20本塁打で正三塁手に。13選手が2桁本塁打というメジャー記録をつくるなど層の厚さが際立った。