東京都千代田区で新築マンションの販売に携わる男性(50)は首をかしげる。「消費税の増税前に買い急ぐ人がほとんどいない。東京五輪後に値下がりすると思っているのか、単に需要が落ちているのか…」
今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値で、住宅投資は年率換算で前期比1・0%増。8%への増税前の平成25年10~12月期は15・8%増だった。
日本自動車販売協会連合会(自販連)関係者も「駆け込み需要は特になかったのではないか」と語る。
同じ耐久消費財でも購入支援策のない家電は駆け込み購入が目立つが、高額な住宅と自動車では、明治安田生命保険チーフエコノミストの小玉祐一は「政府の消費下支え策が効いている」とみる。増税後の反動減を心配する声は少ない。
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今の日本経済は増税を受け止められるのだろうか。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の小林真一郎は「駆け込み需要が出ていないのは、そもそも消費の基調が弱いのでは」と心配する。衣料、食品など身近な商品の消費が弱い。全国スーパー売上高は7月まで4カ月連続のマイナス。円高で中国や香港からの訪日客も減った。