プロ11年目の2014年、涙のツアー初優勝。岩田にとって思いが詰まった富士桜で、過去の栄光を捨て冷静にプレーに取り組んでいる。
「あの頃に比べ、コースがかなり改造されている。アウト(1~9番)は難しくて伸ばせない。後半(イン)が勝負になる」。その言葉通り、前半は耐えて後半巻き返した。
15番で2メートル、16番で3・5メートルのパットを沈めて連続バーディー。続く17番(パー5)は3打目を直接カップインさせるイーグル。終盤に4つ縮めて通算6アンダー、6位に浮上。首位とは7打差も何が起こるかわからないのが勝負の世界だ。
岩田には目標がある。米ツアーへの再挑戦。16年、米国を主戦場にしたが、わずか1年で撤退。「すべてが足りなかった」。そんな夢の入り口が目の前にある。米ツアーとの共催「ZOZOチャンピオンシップ」(10月24日開幕、千葉・習志野)だ。
出場権条件は「ブリヂストン・オープン」(10月10日開幕)で3位以内、この大会を含め今後6試合で賞金ランキング上位7位以内。目下ランク45位(約770万円)の岩田には厳しい状況であるが、この日終盤に見せた爆発力は魅力である。
「出たいです。出られれば、米国行きのきっかけになる。夏場に1カ月、地元(宮城)で練習して調子は上がっている。最終日は一つでも上位を目指す」。38歳は夢に向かってささやいた。(清水満)