機転を利かせて津波から村人を救った江戸時代末期の逸話「稲むらの火」を中心とするストーリーが日本遺産に認定されたのを記念し、地元の和歌山県広川町が1日、シンポジウム「濱口梧陵を生んだ紀州広川の挑戦」(産経新聞社など後援)を大阪市北区のホールで開催した。
安政元(1854)年の地震で広村(現広川町)が大津波に襲われた際、地元の実業家、濱口梧陵は高台の稲束に火をつけて村人を避難させ、復興にも尽力。これが「稲むらの火」として語り継がれ、昨年、同町の防災史跡などと日本遺産に認定された。
この日は、作家の荒俣宏氏が、フリーアナウンサーの平井理央氏との対談で梧陵の人物像を紹介。講談師の旭堂南陵氏が「稲むらの火」を講談で語った。
パネルディスカッションでは、和歌山大の永瀬節治准教授をコーディネーターに、荒俣氏、クラブツーリズムテーマ旅行部の黒田尚嗣顧問、西岡利記町長が日本遺産とまちづくりについて討論。「聖地であると感じさせる広川町の自然と、梧陵の物語をつないでみては」「防災に取り組む他の地域などとの連携を」などの意見が出た。