「ただちに安全運転に支障をきたす状態ではない」。南海電鉄の特急「ラピート」の台車に亀裂が見つかった問題で、同社は30日、問題発覚後初めて記者会見を開いた。会見場に社長の姿はなく、役員や幹部のみが出席。2時間以上に及んだ会見では安全性を強調したが、乗客や沿線住民への説明を後回しにしたともとられかねない同社の姿勢には、鉄道関係者や専門家から批判の声が上がった。
■認識の差、浮き彫りに
会見には、同社取締役の梶谷知志(さとし)・鉄道営業本部長ら幹部5人が出席した。「深くおわび申し上げます」。神妙な面持ちの梶谷氏が、手にした資料を読み上げた後、5人はそろって深々と頭を下げた。
ただ、会見では問題について謝罪しながらも終始、運行の安全性を強調した。
「今回の亀裂は、台車の破断にはほど遠い状態だったと認識している」
同社幹部は平成29年12月、新幹線のぞみの台車で亀裂が見つかり重大インシデントに認定された問題と比較し、今回の亀裂に対する認識をこう表現した。
しかし、車両を確認した国土交通省運輸安全委員会の鉄道事故調査官は27日に「脱線につながる可能性もあった」と指摘しており、その認識の差が浮き彫りになった形だ。
■社長会見は未定
国交省が26日に今回の問題を重大インシデントに認定したと発表して以降、ホームページなどでも経緯を説明してこなかった南海。国交省の発表から4日が経過したこの日の会見で、ようやく亀裂の詳細や経緯を公表した。