長生きの最大の秘訣は「主観年齢を若く保つ」 近年の研究で証明も

【続・長生きは本当に幸せか?】

 「年相応」という言葉があります。日本人はことさら年齢を気にし、自分の年齢にあった行動をしがちです。老人が若者のような行動をすると、「いい年をして」と言われます。

 しかし、年をとったら、年相応の行動をしてはいけません。また、自分が老け込んだと思うこともよくありません。

 「気持ちだけは若く」とよく言われますが、これは長生きをする最大の秘訣です。

 なぜなら、近年の研究で、このことが証明されてきているからです。

 4年前、アメリカの医学雑誌に紹介された、フランスの研究者が行った「主観的年齢と認知能力」という研究では、BMI(肥満指数)が低く活動的な人に、自分が実年齢より若いとのイメージを持ち続けている人が多いことが突き止められています。この調査は10年かけて行われましたが、実年齢に比べて若いと思っている人々は、実年齢に比べて老いていると感じる人々より、記憶力と認知機能のスコアが高かったのです。

 ここでのキーワードは、「実年齢」と「主観年齢」です。実年齢は実際の年齢、主観年齢は自分が思う年齢です。

 米バージニア大学の研究者たちは、人生における実年齢と主観年齢の違いがどう変化するかを調査しました。その結果は、子供や若者のほとんどは、実年齢よりも主観年齢のほうが高いのですが、25歳で逆転します。ここからは、主観年齢が実年齢よりも低くなるのです。30歳になるまでに全体の7割が実年齢よりも自分は若いと感じるようになり、それ以降は差異が広がるだけなのです。

 つまり、現代ではほとんどの人が、自分は実年齢より若いと思っています。そして、その思いが実際に若さを保たせ、寿命を伸ばしているのです。

 年をとるにつれて、性格は丸くなります。そうして、だんだんに人と付き合うのがおっくうになり、新しいことには消極的になります。このような傾向は、主観年齢が高い人ほど顕著に表れるといいます。自分が実年齢より若いと思っている人は、人付き合いもよく、新しいことにも挑戦するのです。

 現在のところ、こうした研究は、まだ医学的には活用されていません。しかし、将来的には活用されると言われています。たとえば、患者さんの主観年齢を若くすることで、健康状態をよくするというような治療法ができる可能性があります。アンチエイジングは、心の持ち方次第で可能になります。少なくとも、老け込むことを遅らせることができるのです。

 このようなことから、「気持ちだけは若く」が本当だということがわかります。いつまでも若くありたいと願うなら、自分は若いと思い、できるだけ若い行動をとればいいのです。

 主観年齢と実年齢の研究は、今後も進んでいきます。いまや、自分が若いと思った人が若く、自分は年寄りだと思った人が年寄りという時代になりました。

 ただし、思うのはいいですが、年をとれば体がついてこなくなります。そういうときは体には無理をさせず。気持ちだけを若くもつこと。これが、いちばん大事です。

 ■富家孝(ふけ・たかし) 医師、ジャーナリスト。1972年東京慈恵会医科大学卒業。病院経営の後、「ラ・クイリマ」代表取締役。早稲田大学講師、日本女子体育大学助教授などを歴任、新日本プロレスリングドクター、医療コンサルタントを務める。『不要なクスリ 無用な手術 医療費の8割は無駄である』(講談社現代新書)、『ブラック病院』(イースト・プレス)など著書計67冊。

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