主張

露首相の択捉訪問 厳しい対応で増長を阻め

 北方領土の不法占拠を固定化しようとする許し難い行動である。ロシアのメドベージェフ首相が択捉島に乗り込んだ。メドベージェフ氏が日本固有の北方領土に入るのは4度目となる。

 プーチン露政権には日本との北方領土交渉を真摯(しんし)に行う意思がない。安倍晋三政権はこのことを認識し、対露戦略を根本的に練り直さねばならない。安倍首相は9月に露極東ウラジオストクで予定される「東方経済フォーラム」への出席を取りやめるべきだ。

 旧ソ連は第二次大戦末期の1945年8月9日、日ソ中立条約を破って対日参戦し、日本の降伏後も一方的侵略を続けた。火事場泥棒のように不法占拠したのが択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の北方四島である。

 終戦の日を迎える8月に択捉へ乗り込み、「ここはわれわれの土地だ」とロシアの実効支配を誇示する。メドベージェフ氏の行動は日本国民の心情を害して余りある。メドベージェフ氏は「日本側の抗議が強まるほど、露政府要人が島を訪れる動機は高まる」とも言い放った。

 安倍首相はロシアとの平和条約交渉に意欲を見せ、プーチン大統領と26回の会談を重ねた。ロシアとの経済協力で信頼を醸成し、領土問題の解決につなげようとしてきた。四島返還の主張や「不法占拠」という表現を封印し、ロシアに配慮している。

 それにもかかわらず、北方領土問題では何ら進展がなく、ロシア側は領土問題の存在を否定するような言動を繰り返す。昨年夏には択捉島にスホイ35戦闘機が配備されるなど、北方領土の軍備増強も着々と進められている。

 今回の択捉訪問は、中国とロシアが軍事関係をかつてなく深め、日米韓の安保連携に不協和音が生じている中で行われた。毅然(きぜん)とした対応を取らねば中国や韓国をも増長させ、日米韓を揺さぶりたいロシアの術中にはまる。

 メドベージェフ氏が2012年7月に国後島入りした際、当時の玄葉光一郎外相は同月末の訪露を予定通り行い、プーチン氏に贈呈される秋田犬まで持参した。これが8月、李明博・韓国大統領による竹島(島根県隠岐の島町)初上陸を招いた。9月には中国で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)国有化を名目に反日デモが吹き荒れた。同じ轍(てつ)を踏んではならない。

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