主張

英国の新首相 秩序ある離脱へ指導力を

 英国の与党・保守党の新党首にボリス・ジョンソン前外相が選ばれ、欧州連合(EU)からの離脱をめぐる混乱の責任を取って辞任したメイ首相の後継首相として事態打開への先頭に立つことになった。

 強硬離脱派の代表格である。離脱期限である10月末までに必ず離脱を実現するというのが公約だ。そのための再交渉にEUが応じなければ、合意なき離脱も辞さない強い姿勢で臨むとみられる。

 だが、合意なき離脱は、英国のみならず、EUの経済にも打撃を与えかねない。日本を含む世界経済にとっても大きなリスクだ。

 これを回避するためにも離脱派と残留派が入り乱れる議会との調整に万全を尽くし、現実的な離脱プランをまとめる必要がある。その上で秩序ある離脱に向けたEUとの協議を目指すべきだ。

 メイ氏とEUが合意した離脱案は、英議会で3度否決された。ジョンソン氏は、この案からアイルランドの国境管理に関する安全条項をなくし、EU側に再交渉を求めていく方針である。

 ただ、その前に国内のコンセンサスを得る努力が必要だ。そこが不十分なままでは、メイ政権と同様の混乱が生じかねない。世論は今も離脱派と残留派が拮抗(きっこう)している。その中でいかに意見を集約できるか。ジョンソン氏の指導力が問われることになる。

 問題は、「再交渉はしない」という姿勢を示してきたEU側の理解を得られるかどうかである。

 EUの一部では、柔軟な対応を模索する声も出ている。アイルランド首相は国境管理をめぐる代替案次第では譲歩する用意があると述べた。次期欧州委員長のフォンデアライエン氏も「納得できる理由が提示されれば、再延期を支持する」と離脱期限を延ばす可能性を示す。EU側にも歩み寄りへの努力が等しく求められよう。

 ジョンソン氏は度重なる失言などで毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい。それでも党首選で圧勝したのは、メイ政権の混乱で落ち込んだ党勢への強い危機感が党内にあったからだ。現状打破を期待してジョンソン氏のカリスマ性にかけたといえる。

 英国は離脱問題だけでなく、イランの核合意や英船籍タンカー拿捕(だほ)などEUとの連携が必要な課題が山積している。足並みが乱れることがないよう混乱を早急に収束させてもらいたい。

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