主張

吉本興業の不祥事 本末転倒もはなはだしい

 何か勘違いしているのではないか。必要なのは涙や温情ではない。反社会的勢力との関係を断ち切れなかった芸人と吉本興業の、真剣な反省である。反社との関係を完全に絶つことである。

 事態をさらに悪化させているのは、芸人の虚偽報告を会社が隠蔽(いんぺい)しようとしたことである。不祥事の中身以上に、虚偽や隠蔽を疑われることが致命傷となりかねないことが分かっていない。

 芸人が反社の会合に参加し金銭を受け取っていた問題で、吉本興業の岡本昭彦社長が謝罪した。涙ながらの会見で芸人に出していた処分を撤回し会長、社長を1年間、50%の減俸とするとした。

 これに先立ち、契約解消や謹慎処分となっていた宮迫博之、田村亮の両人が泣きながら虚偽の説明を謝罪し、会社の隠蔽の指示を訴えていた。謝罪会見を行うことを会社に申し入れたところ、「(会見したら)全員クビにする」と社長に止められたのだという。

 芸人が反社から金銭を受け取ること自体、言語道断である。金銭の授受はなかったという当初の虚偽について報告を受けながら、公表を止めた会社側の責任はさらに大きい。涙の直訴を受けて処分を取り消す立場にはない。

 「全員クビ」などの発言は悪質なパワーハラスメントに当たるはずだが、社長は発言を認めたうえで「冗談」「身内感覚」などと釈明した。そうした旧態依然の体質が、結果として反社を近づけているのではないか。古い体質のまま業界特有の温情に走るなら、時代錯誤以外の何物でもない。

 一連の反社との関係について、吉本と所属タレントの間に専属契約書がないことが、会社を通じない闇営業の温床になっているとの指摘があった。処分された芸人も闇営業だった。

 そうした指摘を受けても吉本側は、口頭での契約を変えるつもりはないとし、その理由は「家族のようなものだから」なのだと説明していた。およそ現代の会社組織の姿とはいえない。

 体制が変わらなければ吉本を辞めると公言するタレントが出るなど、内外から吉本の姿勢への批判が噴出していた。万事、後手に回っての社長会見である。その結果がこれでは、反社との関係を断絶できるのか極めて疑わしい。芸人だけでなく会社も猛省し、ウミを出し切らなければならない。

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