主張

京都アニメ放火 大惨事は防げなかったか

 「けいおん!」など多くの人気作品の制作で知られる「京都アニメーション」第1スタジオが放火され34人が死亡した。最悪の惨事である。

 事件を悲しみ、犠牲者を悼むコメントが世界中から届いている。同社に代表される日本のアニメが、どれだけ世界に愛されているか。改めて実感する。そして理不尽な放火の犠牲になったのは、その担い手の若い社員らだった。

 犠牲者の多くは3階から屋上に出る階段に集中していた。放火した男はスタジオ1階の玄関から侵入し、いきなりガソリンをまいて火をつけたとされる。爆発火災を起こし、スタジオ内は一気に火の海になった可能性がある。ガソリン使用の放火の恐ろしさだ。

 過去にも平成13年5月には青森県弘前市の消費者金融で、21年7月には大阪市此花区のパチンコ店でガソリン使用の放火があり、いずれも多数が死傷した。

 ガソリンは揮発性が高く、火勢も強い。一方で車などを動かす必需品でもあり、取り締まり対象としての爆発物や火薬類には分類されず、消防法による危険物として取り扱いに規制があるのみだ。

 消防法令ではガソリンの購入には専用の携行容器が必要としているが、京都アニメに放火した男は携行缶持参で購入したガソリンを現場に持ち込んだとみられる。これでは現行法で取り締まれない。購入時の身元確認も義務づけられず、業界団体に任されているのが実情だ。今後のテロ対策も含めて法整備の必要はないか。

 同社には数年前から「死ね」と記されたメールなど苦情や脅迫が会社に複数届いていたという。インターネット上には犯行予告と読める書き込みもあった。これらが犯行と結びつくものか、慎重に見極めなくてはならない。

 男と同社の関わりについて詳細は不明だ。過去の犯罪歴についてもつまびらかにする必要がある。どこかに犯行に結びつく鍵があるはずだ。男は複数の刃物も所持していたとみられ、強い殺意がうかがわれる。

 明確な悪意を持った犯行を防ぐことは極めて困難だが、未然に摘発する機会はなかったか。これを探るためにも犯行の経緯や動機の解明は不可欠である。悲惨な事件を繰り返させないためには何が必要で、何が足りないのか。捜査で浮き彫りにしてほしい。

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