4日から始まった日本政府による韓国への半導体の輸出規制強化により、韓国では洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相が「撤回しなければ相応の措置を必ず取る」と報復を示唆。国民の間にも日本製品のボイコットが広がるなど、日韓関係は悪化の一途をたどっているが、実はその数日前に日韓関係はもちろん、韓国の未来さえ破壊する「亡国の反日裁判」が行われていた。(岡田敏彦)
親日は反民族行為
裁判の被告となったのは李愚英(イ・ウヨン)氏。韓国の老舗一流ホテルのグランドヒルトンホテル会長だが、訴えられた背景には先祖の李海昇(イ・ヘスン)氏の存在がある。
韓国紙の中央日報や左派紙ハンギョレ(いずれも電子版)によると、海昇氏は李氏朝鮮の25代国王哲宗に連なる名門の家柄で、1910年の日韓併合後に朝鮮貴族では最高の地位にあたる侯爵の爵位を得たという。同時に公債16万8千ウォンも受け取った。
この約1世紀後、韓国政府が親日行為で手に入れた財産(土地と現金)を国に返すよう、財産を相続した子孫の愚英氏を訴えたのだ。
韓国では盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の2005年に「親日反民族行為者財産還収特別法」(親日財産帰属法)が制定、施行された。日本への併合を民族の恥とし、日本の手先として働き財を為した者から、財産を取り上げる法律だ。それにともない、同法の対象となる「反民族行為者」を決める大統領直属の国家機関「親日反民族行為者財産調査委員会」が設置された。
2007年に反民族行為者と決めつけられ財産の返還を求められた愚英氏は、祖先が韓国の貴族だから土地を得たのだと主張し、返還の義務なしとして行政訴訟を起こした。この法廷闘争は最高裁まで争われたが、2010年に愚英氏の勝訴が確定した。