経済産業省が韓国に対する輸出管理規制の運用を見直し、半導体の製造過程に必要な材料の輸出許可などを厳格化する措置を発表した。
日韓の信頼関係が著しく損なわれ、これに基づく輸出管理が困難になったという理由である。
「徴用工」訴訟や慰安婦問題、自衛隊機への火器管制レーダー照射など、文在寅政権が執拗(しつよう)に繰り返す反日的な行動は枚挙にいとまがない。
抗議を重ねても馬耳東風を決め込む韓国に対し、法に基づく措置で対処するのは当然だ。国家の意思を毅然(きぜん)と示す意味は大きい。
大阪の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では日韓首脳会談も開かれなかった。文政権はこの現実を真摯(しんし)に受け止める必要がある。日本相手なら無理が通ると考えるのはやめるべきだ。
政府は先に韓国産水産物の検査も強化した。福島県産水産物などの輸入を禁じる韓国への事実上の対抗策なのに、表向きは食中毒対策と説明している。今回の措置も西村康稔官房副長官は「対抗措置ではない」としている。
だが、韓国相手に曖昧な姿勢を取るべきではない。信頼関係が損なわれたというなら、信頼回復に必要なことを具体的に示し、韓国側に対応を迫るべきだ。そうした強いメッセージが必要である。
スマートフォンやテレビなどに使われる半導体関連材料について輸出手続きを簡略化できる優遇措置をやめる。法令順守が適切でない事案があり、輸出管理を徹底することにした。個別輸出ごとの申請が必要となり、これまでより輸出に時間がかかる。
また、国と国の信頼関係に基づいて輸出管理を緩くする「ホワイト国」から韓国を外す。いずれも優遇措置をなくすだけであり、禁輸などの新たな規制ではない。この点は冷静にみるべきだ。
半導体など安全保障にかかわる物品は世界貿易機関(WTO)で輸出管理が認められている。制度運用は各国それぞれであり、信頼が喪失した国への優遇措置をやめる判断はあって当然だ。これをもって自由貿易に反するなどと批判するのは適切ではない。
今回の措置は韓国企業のみならず、日本の輸出企業にも影響を及ぼそう。その点を見極めつつ、対韓外交で何が有効かを検討し、改善がなければ対応を強める。その姿勢を貫かなければならない。