主張

沖縄戦終結74年 静かな環境で追悼したい

 沖縄は23日、戦後74年の慰霊の日を迎えた。

 昭和20年4月に沖縄本島に上陸してきた米軍を迎え撃った地上戦は熾烈(しれつ)を極めた。組織的戦闘が終結した6月23日までに日本の将兵と県民18万8千人が亡くなった。米側戦死者を合わせ20万人以上が命を落とした。

 沖縄戦は、国民が忘れてはならない悲劇である。

 日本軍の牛島満司令官が自決した地である糸満市摩文仁の平和祈念公園では、沖縄全戦没者追悼式が営まれ、遺族や安倍晋三首相、玉城デニー知事らが参列する。

 心静かに戦没者を悼む日にしたい。追悼の場に政治的な問題を持ち込み、意見を異にする立場の非を鳴らす行為は厳に慎みたい。

 ところが、昨年まで知事だった翁長雄志氏は、毎年追悼式で読み上げる「平和宣言」の中で、米軍普天間基地の辺野古移設を批判してきた。

 戦没者への追悼の言葉を述べる安倍首相に対し、辺野古移設反対派と思われる参列者から、「帰れ」などの心ないやじが毎年のように飛んでいる。

 極めて悲しい出来事だ。追悼式を知事が政治的発信の場としたり、参列者のやじにより厳粛さを損なわせたりしていいわけがない。翁長氏の後継として当選した玉城知事だが、平和宣言の政治利用は踏襲しないでもらいたい。

 玉城氏は5月末の記者会見で、尖閣諸島(石垣市)海域で日本の漁船が中国海警局の公船に追尾されたことについて、「中国公船がパトロールしているので、故意に刺激するようなことは控えなければならない」と述べた。

 尖閣とその海域は日本の島であり海である。中国公船にパトロールする権利など全くない。

 石垣市議会が抗議の決議をしたことを受け、玉城氏は発言を撤回した。知事であるにもかかわらず、沖縄の島と海が中国に狙われている危機感が足りない。

 平和を守るためには、外交努力に加え、抑止力の確保が欠かせない。実力部隊である在沖米海兵隊の存在も、その一翼である。

 沖縄が大きな米軍基地負担をしていることは事実だ。

 住宅密集地にある普天間飛行場の辺野古移設は、普天間周辺に暮らす県民の負担軽減と同盟の抑止力を両立させる現実策である。これに反対するため戦没者追悼式を利用していい話ではない。

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