高校の教育改革が検討されている。文部科学相の諮問機関・中央教育審議会に、小中学校の義務教育改革とともに諮問された。
高校生の授業への関心が低く、勉強する目的意識や意欲が薄れているとの懸念があるからだ。
高校時代は知識と教養を高めるかけがえのない時期である。その認識を新たに、よく学び、豊かな体験を促すような改革としてもらいたい。
大学受験をゴールに力尽き、学ばなくなる生徒の問題はかねて心配されていた。18歳人口の減少で大学への間口が広がり、受験勉強の必要もないなら、一生懸命学ぶ機会はさらになくなろう。
文科、厚生労働両省が行っている21世紀初めの平成13年に生まれた子供を対象にした追跡調査では「ためになると思える授業がたくさんある」「学校の勉強は将来役に立つと思う」といった授業の満足度、理解度を示す回答が、中学から高校へ学年が上がるとともに低下している。
いかに授業に興味関心を引くか。高校の教育を魅力あるものにできるか。大きな課題である。
政府の教育再生実行会議は、約7割の生徒が通う普通科の教育が画一的になっているとの認識で、科学技術分野の革新を担う素養、国内外の課題を解決するリーダーの育成など、4つのタイプを例示し、教育に特色を持たせるよう促している。
すでに地元の大学や自治体と連携した取り組みも始まっている。理数分野で大学の研究者から指導を受け科学者の考え方を学ぶ、地域の現実の課題をテーマに勉強することなど高校生の刺激になるだろう。改革には校長らがリーダーシップを発揮し、学校内外で連携する熱意と努力も欠かせない。
文系、理系の垣根を越えた学習も検討課題だ。高校の3校に2校は受験などに向けた文・理のコース分けを実施している。
文系にも経済や統計などで数学的思考は必須だ。理数系でも国語力は思考の土台となる。さらに豊富な読書や日常の会話が知識を広め、思考を深める。その大切さを折に触れ教えたい。
インターネットを通して情報が飛び交い、興味関心も多様化する時代に、いかに生徒の心を捉え、その先を学びたいと意欲を引き出す授業を行うか。個々の教員の力も問われている。