登森さんの様子を見ると、スマートフォンで急性アルコール中毒について検索。体温の低下など当てはまる症状があり、残っていた3年生4人に相談した。
「就職に影響が…」
「急性アル中かもしれない」。3年生らはこう思ったが、救急車を呼ぶことはしなかった。登森さんの年齢を知らず、「もし未成年だったら自分たちが処分されるかもしれない」「先輩の就職にも影響が出るかも…」と心配したためだ。
結局、学生らは自分たちで登森さんを2年生の自宅へ搬送。翌朝、登森さんは呼吸が止まり、救急搬送されたが、嘔吐(おうと)物をのどに詰まらせて死亡した。
大阪府警に書類送検されたのは、相談を受けた3年生4人と介抱役の8人。先に帰った3年生と当初から飲み会に参加していた登森さん以外の2年生2人は立件を見送られた。
判断を分けたのは、登森さんの状態に対する認識の差だった。
書類送検された学生らは登森さんの様子を把握し、ほとんどが急性アル中を疑っていた。これに対し、2年生2人は登森さんと同様、下級生として大量に飲酒しており、正常な状態ではなかったという。
一方、帰った3年生は登森さんが酔いつぶれていること自体は知っていた。だが、保護責任者遺棄致死罪の成立には、生命・身体への危険性を認識していることが必要となる。府警は介抱役がいたことに注目。3年生らは登森さんが危険な状態になれば介抱役らが救急搬送すると考えられる立場にあり、自分たちの帰宅が登森さんの死につながると認識していたとはいえない、と判断した。