裁判員10年 高裁の破棄率は低下 「1審尊重」明確に

 裁判員裁判で言い渡された1審判決を高裁の控訴審(2審)がどう評価したかを分析すると、制度施行前に比べて高裁が破棄する割合は低下している。高裁が新たに被告人質問や証拠調べを実施した率も低下しており、2審が1審判決の当否を事後的に審査する「事後審」に徹し、国民が関わった司法判断を尊重する傾向が明確になった。

 控訴審のあり方を示した判例として知られるのが、チョコレート缶に覚醒剤を隠して密輸したとする覚醒剤密輸事件をめぐる平成24年2月の最高裁判決だ。

 最高裁は事実誤認を理由に1審判決を見直す場合は、論理的な整合性や一般常識などにあたる「論理則、経験則」に照らして、不合理な点があることを具体的に示さなければならない、と指摘。また、2審は「1審判決に事後的な審査を加えるべきもの」として事後審という性格を明示した。判決では1審の裁判員裁判で無罪、2審で逆転有罪となった男性は、無罪が確定した。

 最高裁が今回公表した総括報告書は(1)1審が裁判官裁判の事件(2審判決の時期が18~20年)(2)1審が裁判員裁判の事件(同21年5月21日~24年5月末)(3)1審が裁判員裁判の事件(同24年6月~30年12月末)-の3区分で控訴審の状況を調べた。

 (1)は2審判決が言い渡された被告総数2455人のうち431人について1審が破棄され、破棄率は17・6%。これに対し、(2)の破棄率は6・6%(被告総数804人)、(3)は10・9%(同2250人)だった。また、2審で新たに被告人質問や証拠調べを実施した割合は(1)の78・4%に対して、(2)が63・1%、(3)が53・6%だった。

 これらの結果から、総括報告書は「裁判官裁判時代よりも事後審の徹底、1審の尊重が図られている」と評価している。

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