憲法記念日の3日、東京都内で開かれた護憲派集会で、音楽評論家で作詞家の湯川れい子氏がマイクを握り、「憲法9条は世界の宝だ」と訴えた。発言の詳細は以下の通り。
◇
「私は憲法9条を守るために残りの時間をかけたいと思っています。1966年、ビートルズが武道館を使うというときに、今日のように右翼の街宣カーが走り回りました。『薄汚い西洋こじきは出ていけ』『神聖な武道館を使うな』。しかし当時、若かった私は、そんなバカな話はない。彼らの音楽は『言葉は違っても、肌(の色)が違っても、みんな楽しく生きようよ』と言っている。そのことが、若かった私には理屈を超えて分かりました」
「考えてみてください。戦争をしているところに音楽はありません。右翼の街宣カーもマーチを流しているし、ヒトラーも演説の前にワーグナーを流した。でもそういう意図的に使われる音楽ではなく、私たちがこうして楽しく集まってみんなで歌い踊るところには殺し合いなどありません。対立があるところに平和はないのです」
「私が『憲法9条』と言うと、『そんなもので平和は守れない。自分の国の女や子供をどうやって武器がなくて守れるんだ』と言われます。違います。人間が人間を殺すことを恥じないといけないのです。本当に心から恥じないといけないのです。他の動物がそんなことをしていますか? 自分の餌のために、自分の権利のために、自分の名誉のために殺しますか? 恥ずかしいことに、知性がある人間だけがそのようなことをしています」
「憲法9条はあらゆる意味で、あらゆる理屈を超えて日本の宝です。世界の宝です。9条は変えないけれど、そこに自衛隊を書き込むなどというインチキは絶対に許してはいけません。どうぞ皆さん誇りを持って、恥ずかしいなどと思わないで、人を愛してください。語り合うことを信じてください。そして未来の自分がつくる平和な世界を信じてください。心から信じましょう」