【ロサンゼルス=上塚真由】政情不安が続く南米ベネズエラ南部ボリバル州のブラジル国境付近で22日、野党連合側が国際社会に求めた支援物資の受け入れを支持する住民グループに対し、軍当局が発砲し2人が死亡、20人以上が負傷した。物資搬入を阻止しようとするマドゥロ政権側との間で緊張感が高まっている。人道支援をめぐって死者が出るのは初めて。
同州は支援物資の搬入ルートの一つ、ブラジル北部ロライマ州と国境を接している。一方、暫定大統領就任を宣言した野党連合出身のグアイド国会議長は22日に、支援物資搬入の別の通過点となるコロンビア北部のククタに入った。グアイド氏は就任宣言から1カ月となる23日に支援物資がベネズエラに入ると予告しており搬入を指揮するとみられる。
これに対し、マドゥロ政権側は人道支援は米国の軍事介入の口実に過ぎないとして受け入れを拒否。ロドリゲス副大統領は22日、コロンビアとの国境にかかる複数の橋を一時的に封鎖すると発表した。封鎖命令には搬入阻止のほか、政権と対峙(たいじ)するグアイド氏を閉め出す狙いもあるとみられる。
ククタ近郊の国境をまたぐ橋の上では22日、英大富豪リチャード・ブランソン氏が企画したベネズエラ人道支援の慈善コンサートが開かれ、主催者発表で約30万人の観衆が集まった。一方、同じ橋のベネズエラ側ではマドゥロ政権が企画したコンサートが開かれた。