初めて太夫を演じる藤原紀香の声に驚いた/芸能ショナイ業務話

「二月競春名作喜劇公演」の製作発表に出席した左から藤山扇治郎、渋谷天外、水谷八重子、波乃久里子、藤原紀香
「二月競春名作喜劇公演」の製作発表に出席した左から藤山扇治郎、渋谷天外、水谷八重子、波乃久里子、藤原紀香

 23日の千秋楽が迫ってきた歌舞伎俳優、片岡愛之助の妻で女優、藤原紀香が出演中の東京・新橋演舞場「二月競春名作喜劇公演」が熱気に包まれている。

 紀香が出演しているのは「華の太夫道中」は劇作家、北條秀司の「太夫さん」を創始とする130年の歴史を誇る劇団新派の代表作の1つ。

 今回は歌舞伎俳優、尾上松也の妹で同劇団の春本由香も太夫役で出演しており、紀香はゲストながら、かつて水谷八重子や藤山直美が演じた喜美太夫役で舞台に花を添えている。

 初めて太夫を演じる紀香は早くから三味線を購入し、稽古に励むなど真摯(しんし)に役作りをしてきた。

 そのかいがあってか、三味線を持つ手がさまになっている。さらに初日前日の1日に行われた公開稽古でも感じたことだが、太夫の衣装姿が衣装さんがついているとはいえ、上品な着こなしが印象的だった。

 もともと着物好きだったそうだが、2016年に愛之助と結婚後、夫が出演する歌舞伎興行の劇場玄関で、ごひいき筋へあいさつをする際の控えめながら品のいい装いを思い出した。

 最も驚いたのが紀香の声。江戸時代から続く旧派の歌舞伎に対して、1888年に始まった新派の舞台の役者はマイクを使わない生声だが、紀香は滑舌もよく、声が通り、3階席の奥まで聞きとれることができた。その証拠に記者の周囲にいた妙齢の人たちが何度となく目頭を押さえていた。

 紀香演じる喜美太夫を育てるおかみのおえいを務める波乃久里子は、歌舞伎俳優の十七世中村勘三郎さんの長女で、十八世中村勘三郎さんの実姉。その波乃が公開稽古後に「こんなにかわいくて、器量がよくて心がよくて…。役作りをしなくても、天使みたいな人」と絶賛すれば1972、79、83、87年と喜美太夫を演じた水谷も「いろんな人の手に掛かって、若い人に残していかないと」と名作の継承を口にした。

 「華の太夫道中」は紀香にとって、大事な作品になるに違いない。(くのいち)

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