近ごろ都に流行るもの

「高卒で働く」(下)学歴の壁低く「自由な就活」で広がる可能性

 さまざまな事情を持った生徒が通う定時制電気類型は、大半が就職希望だ。2年生の男子生徒(17)は、「安定してお金を稼げて、休みがきちんと取れる会社に入りたい。ブラック企業は絶対にいや」と話す一方、「ベースが趣味で音楽関係に興味があるし、高校で取った資格が生かせる仕事もいいかなと思うけど、世の中にどんな職業があるか、全然イメージできていない」と率直に明かした。

 第1志望の高校を落ちて2次募集で入学したという2年の女子生徒(17)も、「高校受験で親に迷惑をかけて自分も苦労したので、進学は考えていない。建築関係の父の仕事を手伝っており『継げ』と言われるけど、もっと自分に合った違う職業があるんじゃないかと漠然と考えています」と語った。

 「就活以前に、働く大人との接点をつくり、大変なことも含めた仕事の実態を見せて、体感させることが大切」と同校の新井晋太郎教諭(37)。かつての永田さんと同じサラリーマンからの転身組で共鳴しており、今後はタッグを組んだ職業教育や就活指導を行っていく予定だ。

 中・高卒で活躍する経営者は少なくない。高卒就職支援サイトの草分け「JOBドラフト」を運営する「ジンジブ」(東京都港区)を傘下に持つ「人と未来グループ」創業者、佐々木満秀社長(50)も、自身が高卒で働き出した経験から「生徒の未来を広げたい」と、同事業を立ち上げた。契約する企業は前年度からほぼ倍増し、今年度は667社にのぼっている。

■  ■

 学歴に加えて、地域による格差解消を目指す取り組みもある。

 その名も「ヤンキーインターンシップ」。中・高卒の若者が東京で就職するのを支援する「ハッシャダイ」(東京都渋谷区)が、田舎でエネルギーを持てあましている18~24歳のヤンキーを対象に、マナーや営業、プログラミングのノウハウを教え込む無償の研修制度(1カ月~6カ月)だ。

 平成27年9月の開始から300人以上が卒業、就職を果たしている。現在は25人が研修中だ。参加するには地方からの上京が条件になるが、インターン中の家賃光熱費や食費はかからず、お金がなくても「やる気」さえあれば飛び込める。運営費は、卒業生が入社した企業からハッシャダイが受け取る「人材紹介料」が資本となっている。

 100社近い入社先には、超有名企業の名前も。担当者は「もともと大卒限定というわけではなく、中・高卒者へのアプローチ方法がわからなかっただけという話も聞いており、学歴の壁は低くなりつつある」と手応えを語った。

 大学を増やしすぎたツケで定員割れが深刻な「大学全入」時代。それに付随するかのように、奨学金の返済に追われて貧困の連鎖に陥る若者も増えている。外国からの移民に頼ろうという改正出入国管理法が成立する未曾有の労働力不足の中、「高卒で働く」を選んだ金の卵たち。その羽で、社会の諸問題を吹き飛ばす新しい風を巻き起こしてほしい。

  1. 名脇役の斎藤洋介さんが死去 69歳、人知れずがんで闘病

  2. 俳優の志垣太郎さんが3月に死去していた 70歳 急な体調不良による心不全で 長男が報告

  3. きよ彦さん死去…毒舌キャラでタレントとしても人気集めた着物デザイナー

  4. 中村玉緒の息子・鴈龍さん、孤独死していた…55歳

  5. NHK朝ドラあすの「舞いあがれ!」12月7日OA第48話あらすじ 予習に姿を現さなかった柏木(目黒蓮)の部屋を訪ねた舞(福原遥)は…