甘口辛口

負傷休場続出の初場所…悪用で廃止した「公傷制度」を再考しては

稀勢の里
稀勢の里

 ■1月24日 初日は21番あった初場所の幕内取組が1番減り、2番減り…。発表された12日目の取組を数えたら18番に減っていた。1敗で優勝戦線に絡んでいた千代の国と、琴勇輝が休場。番付には残ったとはいえ貴ノ岩が暴行問題で引退し幕内は1人減の上、稀勢の里の引退や鶴竜、栃ノ心らの休場が重なり取組編成はまさに危機的状況だ。

 ふつうなら十両から上げて番数を確保したろう。審判部は、左足を痛めて7日目から休場していた御嶽海が11日目から再出場したこともあって水増しを回避したようだ。しかし、初日から3番も減ることで同じ料金を払うお客さんは損した気持ちになるかもしれない。

 けがによる休場者が続出すると「稽古が足りない」との常套(じょうとう)句が聞こえる。とはいえ千代の国や、10日目に右膝を痛めた元幕内の人気者宇良(幕下)のように恵まれない体を稽古量でカバーしてもけがをする。あるスポーツトレーナーは「人の何倍も稽古すれば、つねにオーバーワークの蓄積となり逆にけがにつながりやすい」と指摘した。

 かつては負傷休場した場合、次の場所全休しても同じ地位に留まる公傷制度で力士は救済された。しかし、医師に症状を大げさに申告した診断書が次々に出るなどの制度の悪用で廃止された。力士からは復活を望む声も聞かれるが、経緯を知る親方衆には「とんでもない」と否定的な意見も多い。

 悪用した力士も悪いが抜け道にも問題があった。たとえば、知り合いの病院と協会指定病院での二重チェックを義務づけたり、公傷とする代わりに期間中の給料を半減したらどうか。そんな思いまでして悪用する力士はいないだろう。再考の余地はありそうだ。 (今村忠)