主張

統計不正の調査 これで幕引きはできない

 政府・与党は、これで幕引きできるなどと考えるべきではない。

 毎月勤労統計の不正調査問題をめぐり、厚生労働省の特別監察委員会が中間報告書を公表した。一部の幹部らは不適切な調査と知りながら漫然と従来の手法を踏襲し、ルール違反を繰り返していた。その無責任ぶりにはあきれるばかりだ。

 監察委が「組織としてのガバナンス(統治)が欠如している」と同省の体質を批判したのは当然である。だが、その調査期間は、わずか1週間にすぎない。

 報告書は組織的な不正の関与や隠蔽(いんぺい)の疑いに踏み込めず、全容の解明にはほど遠いまま、「組織的な隠蔽は確認できなかった」と早々に認定した。

 これでは国会の閉会中審査を控え、決着を急いだと受け取られても仕方あるまい。

 都道府県を通じて賃金動向を調べる毎月勤労統計は、従業員500人以上の大規模事業所は全数調査する決まりだ。

 だが東京都内は数が多く、同省は15年前から勝手に抽出方式に変えていた。報告書はその理由について「都道府県の負担を考慮したもの」と記したが、都など自治体職員に対する聞き取りは実施していない。調査は省の言い分を聞いただけである。

 課長級を含む担当職員らはこれらの不正を知りながら、その後も前例踏襲で不適切な調査を続けていた。不正の実態を部下から説明された局長級幹部は「修正を指示した」というが、対応は部下に任せきりで問題は放置された。

 同省は昨年から統計データをひそかに補正し、その事実も公表していなかった。組織ぐるみによる隠蔽に対する疑念は全く解消されていない。調査報告の踏み込み不足は明らかだ。

 根本匠厚労相は報酬を自主返納し、鈴木俊彦事務次官らへの処分も決めたが、一様に軽く、早すぎる。監察委は今後、再発防止に向けた取り組みを協議するという。だが本来は、処分も再発防止も不正の全容解明が前提である。歴代厚労相への聞き取りを含めた徹底調査が欠かせない。

 不作為の連鎖を許した組織構造には重大な欠陥があり、来年度予算案を組み替えるなど影響は大きく広がっている。国家として、基本統計の重要性を改めて厳しく認識しなければならない。

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