運動不足になると、血流も滞りがちになり、毛細血管まで常に十分な血流が行かなくなる。運動、とくにウオーキングなどの有酸素運動をすると、「呼吸ポンプ」「筋肉ポンプ」「心臓ポンプ」の3つのポンプ機能で、血液が全身にしっかり流れるようになる。
少しきついと感じるくらいの運動がよい、といわれる。ふくらはぎの筋肉の収縮によって静脈の血液をしっかり上げ、大きく呼吸をすることによって横隔膜が下がり、下大静脈が圧迫されて心臓まで戻り、心拍数の増えた心臓がしっかり血液を押し出す、という循環ができるからだ。
睡眠不足がよくないのは、睡眠中に毛細血管の修復が行われるが、その時間がとれないためだ。
栄養過多、つまり糖質と脂質の摂り過ぎはすべての血管にダメージを与えることがわかっている。中でもごはん、パン、麺類、菓子類などの主成分である糖質の過剰摂取の影響が、毛細血管では大きいことがわかっている。
表皮にまで毛細血管が届き、酸素や栄養分が十分に届けば、見た目の老化予防につながる。
「表皮まで到達している毛細血管の数は場所によって違いますが、加齢とともに減り、70~80歳代では若くて健康な人の3~4割は減ってきます。しかし20~30歳代の人でも同様に減っている人はいます。毛細血管が表皮まで届いていないと、皮膚のバリア機能が低下し、表皮そのものが薄くなってきます」
毛細血管のゴースト化を防ぐ食品として、ヒハツ(ロングペッパー)、シナモン、ルイボスなどを前回紹介したが、効果を得るために多く摂る必要はない。とくにシナモンは摂り過ぎると肝臓に負担をかけてしまうので、紅茶やコーヒーに入れておいしい量を毎日~1、2日おきくらいに飲む程度で十分だ。
なお、シナモンをはじめとするこれらの食品は毛包の維持も期待でき、抜け毛予防は可能だが、発毛までは難しいそうだ。(医療ジャーナリスト 石井悦子)