【ワシントン=加納宏幸】ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10月31日、イラン核合意からの離脱表明を受けて米国が11月5日から再発動する第2弾の制裁のうちイラン産原油の全面禁輸について「最大限の圧力を達成したいが、友好国や同盟国に損害を与えたくはない」と述べ、一部の国への適用除外を示唆した。ロイター通信が報じた。
イラン産原油の最大の輸入国、中国が取引削減に動き出したと欧米メディアが報じているが、大口の輸入国であるインドやトルコは禁輸に慎重だ。ボルトン氏は具体的な国名を挙げなかったが、イランと地理的に近い国が輸入を「すぐにゼロにできない」ことは理解しているとも述べた。
対イラン強硬論者のボルトン氏としては、適用除外に柔軟な姿勢を示すことで、幅広い国から輸入削減など制裁への協力を得る狙いがあるとみられる。
日本の石油業界が禁輸の適用除外を求めてきたことを受け、日本政府も米政府に対し、「日本企業の活動に悪影響が及ぼされることがないように」と伝え、柔軟な対応を促してきた。
米政府は影響の大きい原油禁輸に先立ち、8月に自動車産業などへの第1弾の制裁を再発動した。