モスバーガーで食中毒 生野菜が原因?家庭も注意を

食中毒予防のため、生野菜は流水でよく洗うことが必要だ

 ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を8月に利用した客28人が、腸管出血性大腸菌「O121」による食中毒を発症した。原因食材は判明していないが、肉の加熱不足や野菜の汚染が原因の可能性がある。家庭の食事でも注意が必要だ。(平沢裕子)

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患者からO121

 腸管出血性大腸菌は、主に牛など動物の腸管内にいる細菌。食中毒の原因となるのは「O157」が多いが、今回検出されたO121も同様に食中毒を引き起こす。京都大東南アジア地域研究研究所の西渕光昭(にしぶち・みつあき)教授(病原細菌学)は「O157に比べ頻度は低いとはいえ、O121による食中毒でも、溶血性尿毒症症候群や腎機能障害など重篤な症状となった患者が報告されている。これらの菌は10個以下などごくわずかの菌数でも感染し発症する」と説明する。

 モスフードサービス(東京都品川区)によると、8月10日から23日の間に、関東・甲信地域にある19店舗を利用した28人の患者のうち、検査が終了した10店舗13人のO121の遺伝子型が一致していた。同社は、「同時期にチェーン本部から納入した食材が病因となった可能性が極めて高い」とするが、「どの食材が原因かは現時点では分からない」という。

肉の加熱不足?

 同菌による食中毒は、食肉の生食や加熱不十分なひき肉料理が原因となることが知られる。これまでに調査を終えた患者は全員がハンバーガーを食べていたといい、ハンバーガーのパティ(肉)が加熱不足だった可能性もある。

 ただ、同社はマニュアルで、「パティは鉄板で170度以上の温度で表裏表を各1分半、計4分半加熱する」としている。腸管出血性大腸菌は75度1分以上の加熱で死滅することから、マニュアルを守っていれば加熱不足はありえないだけに、同社は「マニュアル順守を徹底したい」とする。

 一方、「キャベツやタマネギなどの生野菜が原因ではないか」と指摘するのは、食品衛生コンサルタントの笈川(おいかわ)和男さん。腸管出血性大腸菌が牛の腸管内にいる菌ということで、肉が注目されがちだが、同社のハンバーガーには生野菜も使われている。

流水でよく洗う

 日常的にサラダなどで生野菜を食べる今、野菜のリスクを認識する人は多くないが、野菜による腸管出血性大腸菌による食中毒はこれまでもたびたび起きている。西渕教授は「牛糞(ふん)で作られた堆肥の発酵が不十分で菌が残っていたり、牛の排泄(はいせつ)物が農場内に流れ込んだりすることで野菜は汚染される。最近の食用生野菜の調査でも、家畜の糞便由来と思われる菌による汚染が確認されている」。

 平成24年に北海道で8人が死亡したO157の集団食中毒は浅漬けの白菜、26年に静岡市内の花火大会で500人超が症状を訴えたO157の集団食中毒は冷やしキュウリと野菜が原因で、どちらも洗浄が不十分だった可能性が指摘されている。食中毒予防のため、給食施設などが順守することを求められる厚生労働省のマニュアルでは、野菜について「流水で水洗い」「必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いする」などとしている。

 笈川さんは「腸管出血性大腸菌による食中毒は、体の抵抗力が弱い子供や高齢者が感染すると重篤になるリスクが高い。野菜を生で食べるときは必ず流水で洗うこと。市販のカット野菜も流水で洗うことが勧められる」と話している。

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 ■二次感染も注意

 腸管出血性大腸菌による食中毒は、多くの場合、原因となる食材を食べてから3~5日の潜伏期をおいて発症。下痢に激しい腹痛を伴う。発症者の6~7%に、溶血性尿毒症症候群や脳症などの重篤な合併症がみられる。患者の便などから二次感染するので、患者の便に触れた場合は流水で十分に手洗いを行い、消毒用アルコールで消毒する。

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