昨春オープンした改装町屋第1号の宿泊施設「大津町屋の宿 粋世(いなせ)」は外国人に好評で、宿泊したフランス人は着物を着たり、お茶を点てたりと日本の文化・伝統に触れることができて喜んだ。
市民も町屋の改装に興味津々で、つぶれそうな古町屋が見違えるほどおしゃれに変身したことに驚く。空き家となった古町屋は壊すしかなかったが、和食料理屋や居酒屋などによみがえり、にぎわいの創出に貢献している。
市民の盛り上がりを受け、市も5月に官民連携の「宿場町構想実行委員会」を立ち上げたほか、町屋などの活用に取り組む人材育成を目的に「リノベーションスクール」も開催する。
谷口工務店も第2弾として、今秋に「クラフトマン(職人)カレッジ」プロジェクトを始める。職人を育てる文化が薄れつつある中、DIYからプロ志望までさまざまな職人が集まり、ものづくりの技能を磨く場として空き家を活用。シャッター街を「ものづくり商店街」として再生し活気を取り戻す。
谷口氏は「大津市を高度な技能を持つ職人が世界中から集まる聖地にしたい」と意気込む。イタリア・ミラノで毎年開催される世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ」の大津版「オオツサローネ」開催を夢見る。かつての宿場町のように多くの人が訪れ、行き来する宿場町構想を進める大津市の新たな地域資源になりそうだ。
(経済本部 松岡健夫)