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台湾の台北駐大阪経済文化弁事処の処長が14日、公邸で自殺しているのが発見された。台風21号で関西国際空港に旅行客が取り残された問題で、支援が不十分だったとして批判されていた。「まじめで学者肌だった」(知人)という外交官が自死に追いやられた背景からは、当局に過剰な対応を求める一部台湾世論と、深刻な二大政党対立という台湾社会の課題が浮かび上がる。
着任わずか2カ月
大阪府豊中市内の公邸で自殺したのは、駐大阪の総領事に相当する蘇啓誠処長(61)。台湾メディアの報道などを総合すると、蘇氏が出勤しなかったため、弁事処の職員が公邸を訪れたところ、首をつった状態の蘇氏を発見した。
蘇氏は大阪大の大学院で日本学を専攻し修士号を取得した日本畑の外交官で、7月に那覇弁事処の処長から転任したばかりだった。着任直後に産経新聞の取材に応じ、日台の青少年交流に意欲を見せていた。
公邸には家族あての遺書があり、批判を苦にするような内容が書かれていたという。蘋果日報は16日、蘇氏が日本在住の台湾人医師とのメールで、謝長廷駐日代表(駐日大使に相当)に「累が及んだ」と自責の言葉を記していたと報じた。
ネット情報を基に批判
批判のきっかけは、台湾のネットの掲示板に6日、「中国の在大阪総領事館がバス15台を手配し、中国人を優先的に退避させている」との書き込みがあったことだ。実際には優先退避はなく、中国当局が世論工作に利用した疑いがあることは、産経新聞が12日付で報じた。