搭乗員9人全員が死亡した群馬県の防災ヘリコプター「はるな」の墜落事故をめぐり、県は21日、外部有識者を交えた「防災航空体制のあり方検討委員会」を設置したと明らかにした。設置は20日付。墜落し大破した機体の回収作業についても、10月中を目途に終了させる方針が示された。県は検証を速やかに終え、後継ヘリの導入を急ぎたい考え。
県によると、検討委は委員8人とオブザーバー6人で構成。帝京大学理工学部航空宇宙工学科の平本隆教授や埼玉県防災航空隊の防災航空センター所長らが委員を務め、基本的に全ての会議に出席する。総務省消防庁の広域応援室長や吾妻広域消防本部の消防長らがオブザーバーとして、議題に応じて会議に参加する。早ければ10月初旬にも初会合を開き、来年1月をめどに委員8人が検証結果を報告書にまとめる予定。
横室光良危機管理監によると、検討委のテーマは墜落事故そのものの内容や、運航体制など、広範にわたるという。後継ヘリを導入する方針が固まった場合、再発防止策も議論される。
機体の回収作業をめぐり、県は今月11日に現地調査を済ませ、回収に向けた準備を今月末から始める。県によると、事故現場が斜面であるため、墜落した機体を平地に移動させ、梱包したのち、トラックで運送する。機体の保管場所は、「はるな」の活動拠点だった前橋市の群馬ヘリポートが有力だという。回収作業には民間の大型ヘリが必要で、費用は約3千万円となる見込み。
検討委の設置は20日付だったが県は同日中に公表せず、21日に開かれた県議会で、議員の質問に答えるなかで設置の事実を明らかにした。