公正取引委員会がFFGと十八銀行の経営統合計画を承認したのは、公正な競争環境が保てると判断したからだ。公取委は「統合で寡占が起きれば競争が減り、貸出金利が高止まりする」として中小企業が不利益を受ける可能性を指摘してきた。しかし、両社が債権譲渡という「苦渋の決断」(FFGの柴戸隆成社長)でシェア引き下げに踏み切ったことで方針を転換した。
FFGと十八銀は統合承認に向けて今年5月から長崎県内全ての融資先約1万6千社を回り、他の金融機関に借り換えてもらう債権譲渡の同意を求めた。融資先中小企業からは「融資条件の悪化につながる」などとの懸念も根強かったが、借入先を分散化するメリットなどを説明し、説得を続けてきた。
シェアを落としてまでも両社が統合を急ぐのは、急速に進む人口減少などを背景にした地方経済の疲弊が大きい。特に長崎県は九州の中でも人口減少が著しく、統合しなければ生き残れないとの危機感は強い。