ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行の経営統合は24日、公正取引委員会の承認で、ようやく決着した。両者は「長崎経済に貢献していく」とうたう。ただ、貸出金シェアで7割に迫るスーパー地銀誕生に、「5年後、10年後も競争が維持されているだろうか」と懸念も根強い。地銀だけが生き残り、地場の中小企業は消えた-。そうならないような監視が欠かせない。
長崎県は、九州の中でも人口減少が著しい。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、長崎県人口は、平成57(2045)年までの30年間で28・7%減少する。
地銀の経営環境は厳しさを増す。だからこそ、ふくおかFGと十八銀行は経営統合に動いた。特に、長崎県を本拠とする十八銀行に、危機感が強かった。
ふくおかFGの柴戸隆成社長は24日の記者会見で「取引先に貢献し、地域の活性化、銀行の成長につなげたい」と、統合の意義を強調した。十八銀行の森拓二郎頭取も「長崎を維持、発展させるためにいち早く融合する」と応じた。
十八銀行は来年4月、ふくおかFGの傘下に入る。そして32年4月に、親和銀行(長崎県佐世保市)と合併する。
この結果、長崎の金融業界に、圧倒的シェアを有する「1強」が誕生する。