東京スター銀行は21日、個人を対象にインターネットバンキングでの米ドル建て預金の両替手数料(為替手数料)を無料にした。国内金融機関では初の試み。米国では利上げに伴って金利が上昇局面にあり、ドル建て預金は円建て預金より高い利回りを受けられる。スター銀も外国為替相場の変動リスクを気にせず、ドルを調達できるメリットがある。手数料をなくすことでネットバンキングになじんでいる若者のドル建て預金を増やす狙いだ。
外貨建て預金の預金者は円から外貨、外貨から円に両替する際に銀行に手数料を支払う必要がある。ドルだと1ドル=数十銭~1円程度が多い。スター銀のネットバンキングでも従来は50銭の手数料を取り、預金者には大きな負担となっていた。
一方、日銀の大規模な金融緩和による超低金利の影響で、銀行は預金を企業に貸し出す本来ビジネスでは十分な利ざや(貸出金利と預金金利の差)を稼げなくなっており、手数料ビジネスは大きな収益源だ。
スター銀にとっても外貨建て預金の両替手数料はうまみが大きかったが、ドルの調達力を強化するため、無料化に踏み切った。外国企業や海外進出を狙う国内の取引企業にドル建て資金を貸し出す業務を本格化する。
円安ドル高になると銀行がドルを調達するコストは高くなるが、ドル建て預金であれば銀行は為替リスクを気にせずドルを集められる。ただ、円高局面で預金者がドルを円に両替すると目減りしてしまう。