だが、トランプ政権は北朝鮮をあやしながら、北朝鮮に鉈(なた)を振るう瞬間を待っている。
もし、11月初頭の米中間選挙の前までに、北朝鮮が「非核化」へ向けて、米国の選挙民が納得できる成果を差し出さなければ、海軍艦艇を用いて、北朝鮮に対する海上封鎖を実施することになろう。米国民は何よりも力を好むから、喝采しよう。
私は、前回の「日本を守る」連載(4月掲載)で、米国が北朝鮮に対して海上封鎖を断行する可能性が高いと予想した。
海上封鎖というトランプ砲が発射されると、日本の政府と国会が激震によって襲われよう。米海軍が日本のすぐ隣の北朝鮮に対して、海上封鎖を実施しているのに、自衛隊が燃料や食糧の供給などの後方支援に役割を限定するわけにはいくまい。
米国-イラン関係の険悪化など、中東情勢も不安定化している。中東は日本のエネルギーの80%以上を供給している。
日本を揺るがしかねない危機が進行しているのに、日本の世論は目をそらしている。
■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『「美し国」日本の底力』(ビジネス社)、『新・東京裁判論』(産経新聞出版)など多数。