世界中に5000万人ともいわれる華僑(華人)の勤勉さや能力の高さには感心させられるが、筆者は、共産主義によって支配される国には、これ以上の発展の可能性がないと考える。
振り返ると、毛沢東主席によって指揮された「大躍進政策」と「文化大革命」で犠牲となった中国国民は西側の推計で8000万人ともいわれるが、真実は不明だ。
ちなみに、共産主義(社会主義)がファシズムとほぼ同じ考え方であることは、オーストリア学派で1974年にノーベル経済学賞を受賞したフリードリヒ・ハイエクが著書『隷従への道』(44年)で明確に論証している。アドルフ・ヒトラーが率いた「ナチス」の正式名称は「国家社会主義ドイツ労働者党」。つまり左派政党であり、ヒトラー自身もマルクスをはじめとする共産主義・社会主義思想に傾倒していた。
そのような状態の国に登場したのがトウ小平氏だった。彼が「客家(はっか)」であることはあまり知られていない。客家とは中国大陸の北方にルーツを持つ民族で、質実剛健で極めて商才にたけている。シンガポール建国の父リー・クアンユー元首相や、台湾の李登輝元総統も客家とされる。