富山市の交番で26日、警察官が刺されて死亡し、拳銃が奪われた。逮捕された男は小学校付近で発砲して警備員の男性も殺害し、多くの児童がいる校内に侵入、乾いた発砲音が複数回響いた。小学校では緊迫した校内放送が流れ、教諭らが児童を体育館に避難させた。児童の迎えに駆け付けた保護者や地元住民は「まさかこんなところで」と言葉を失った。
いきなり切りかかり拳銃奪う
ドンドンドン-。富山市久方町の富山県警富山中央署奥田交番の裏口のドアが大きくノックされたのは、26日午後2時すぎのことだった。
当時、交番には所長の稲泉(いないずみ)健一警部補(46)と交番相談員の男性の2人がいた。稲泉警部補がドアを開けると、白の半袖シャツに黒のズボン姿の元自衛官、島津慧大(けいた)容疑者(21)が立っていた。
手に刃物を持っており、いきなり稲泉警部補に切りかかった。稲泉警部補は懸命に抵抗し、もみ合いになったが、島津容疑者に数十回にわたって切りつけられ、拳銃を奪われた。
「警察官が刺された」。この間に相談員は交番を飛び出し、道路の反対側にある美容室に駆け込み、通報を依頼。同店の男性店長(46)によると、衣服や手に血が付いており、慌てた様子で「交番の中にまだ犯人がいる」と話していた。