全国の自治体が設置した児童館の運営上の指針となるガイドラインについて、厚生労働省が改正する方針を決めたことが21日、分かった。今秋にもまとめ、公表する。児童館は各地で廃止・再編の動きが出ているが、いじめや児童虐待などが社会問題化する中、子供の居場所となるなど期待される役割も大きい。改正案では、児童虐待が疑われる子供への対応も重点的に盛り込んだ。
児童館は18歳未満の子供に遊び場を提供する施設で、主な対象は小学生。現在各地に約4600館ある。児童減少や老朽化などを背景に廃止・再編の動きも出ている。
東京都板橋区は、小学生が放課後も学校で過ごせる事業を展開し、38あった児童館のうち12館を閉鎖。残りの26館では乳幼児や保護者向けのプログラムを充実させた。豊島区では24館のうちの22館を幅広い世代が活用できる「区民ひろば」に転換し、2館は中学・高校生向けの児童館とした。
現在のガイドラインは約7年前に作成され、運営の指針となってきたが、子供の環境変化を踏まえた方向性の提示も求められていた。改正案は児童館の新たな機能や役割として、「安定した日常生活の支援」「子供と家庭が抱える可能性のある問題の予防・早期発見」などを明示した。
児童虐待が疑われる子供への対応については「市町村や児童相談所に速やかに通告し、関係機関と連携して適切な対応を図る」などと具体的に記した。