女は「子育てで余裕をなくしてしまい、事件の1週間ぐらい前から長女を育てていけるのかという悩みや不安が大きくなった。現実から逃げ出したくて殺してしまった」と供述。「完璧な母親になりきれなかった」とも話しており、育児の悩みが事件の引き金になったとみられる。
夫が何もしてくれなかった、というわけではない。むしろ夫に対しては「家事や育児を助けてもらっていた」と感謝の言葉を述べたという。それでも精神のバランスを保つことができなかったのだ。
「~すべき」にこだわらない育児
育児のストレスや不安とどう向き合うべきか。NPO法人「女性と子育て支援グループ・pokkapoka(ぽっかぽか)」(本部・大阪市東淀川区)の渡辺和香(やすこ)理事長は「子育てに疲れたら子供と離れる時間を持つことも必要」と勧めている。
程度の差こそあれ、母親の多くは産後、育児の重圧や負担からストレスや不安を抱える。ときにわが子を愛せなくなり、精神的に疲れてノイローゼになる。特に最初の子供を出産した後にそうなりやすい。
渡辺理事長は育児の心構えとして「子育てを『こうあるべき』と考えすぎない方がいい」と説く。
例えば、この時間までに寝かせないといけない、栄養バランスの取れた食事を食べさせないといけない-といった考えは、子供が取る行動との間でギャップを生みやすい。「妥協してもいい」と割り切れれば、心に余裕を持てるという。