穏やかだった前日から一転、海からの強風が吹き荒れた川奈で、上田が存在感を示した。この日のベストスコア67で回って首位に浮上。「2日間、いい集中を保てている」とうなずいた。
前半を2バーディー、1ボギーで折り返すと、後半は11、12番で連続バーディー。13番(パー4)は2打目でグリーンを捉えられなかったが、傾斜を利用した巧みなアプローチでパーをもぎ取り、14、15番の連続バーディーにつなげた。
地元・熊本で行われた前週の大会は屈辱の予選落ち。2年前は熊本地震の影響で中止され、昨年はプレーオフに敗れて優勝を逃した思い入れの強い大会だけにショックは大きく、実家に2日間引きこもった。「いつもは練習して感覚をすっきりさせるが、クラブも見たくなかった」
その間、食い入るように見詰めたのが男子のマスターズ・トーナメントの映像。特に2位に入ったリッキー・ファウラー(米国)が最終18番で奪ったバーディーに「こんなにあっさり打てるのか」と衝撃を受けた。
自身も出場した2009年エビアン・マスターズのプレーオフで、優勝した宮里藍のバーディーパットも思い出した31歳は「シンプルにプレーできれば実力を出しやすい」と再認識。「充実した3日間にしたい」という。気持ちをリセットして臨んだ今大会で、元賞金女王が頂点を狙う。(奥村信哉)