北朝鮮による拉致被害者家族の相次ぐ死去を受け、拉致問題解決を最重要課題と位置付ける政府は焦りを募らせている。
菅義偉官房長官は12日の記者会見で、拉致被害者の増元るみ子さん(64)=拉致当時(24)=の母、信子さんと、拉致被害者の曽我ひとみさん(58)の夫、チャールズ・ジェンキンスさんが死去したことについて「ご冥福を心からお祈り申し上げる」と述べた。その上で「あまりにも長い年月が経過したと痛感するとともに、曽我さんの後に一人の拉致被害者も帰国できなかったことは痛恨の極みだ」と述べた。
信子さんの死去で、政府が認定する未帰国の拉致被害者の親で生存しているのは、横田めぐみさん(53)=同(13)=と有本恵子さん(57)=同(23)=の両親だけとなった。
菅氏は「家族も高齢化し、一刻の猶予もない。解決を強く求めるご家族の切迫感を共有したいと思う。一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆる努力を傾注したい」と強調した。
加藤勝信拉致問題担当相も「本当に一刻の猶予がない。その切実たる思いが強まっていき、その思いを共有し、あらゆる施策を駆使して北朝鮮から拉致被害者の帰国に向け全力で取り組んでいきたい」と話した。
ただ、平成26年に北朝鮮が全拉致被害者の再調査を約束したストックホルム合意以降も膠着(こうちゃく)状態が続き、野党などから「一ミリも進んでいない」との批判の声があがっている。
政府は拉致問題に加え、核・ミサイル開発問題といった懸案の包括的解決を目指し、関係各国と連携して北朝鮮に圧力をかけ続ける構えだが、「急に解決に向かうような特効薬は見当たらない」(政府関係者)のが実情だ。