歓喜の瞬間は突然、訪れた。永井は雨による中断でクラブハウスで待機していたが、カメラマンたちに囲まれ、待ち焦がれた優勝に気付いた。
「私が想像していたのは、グリーン上での優勝。本当に予想外ですけど、すごくうれしい」
父・利明さん(50)、母・裕子さん(51)とトロフィーを手に取り、目に涙を浮かべた。2011年「全日本サンスポ女子アマ」で3位の実力者。プロ2年目での初Vは家族への恩返しとなった。
高校時代までプロゴルファーを目指していた利明さんは、技術指導と転戦での車の運転が役目。裕子さんはラウンドする娘のためにおにぎりなどを作る。
「いてくれるだけで安心感があります」
両親は東京・大井町でラーメン店「のりや食堂」を営みつつ永井をサポートしていたが、娘が16歳のときに経営権を弟子へ譲り、プロへの道をともに歩んだ。平日は実家の車庫の中にネットを張った特製の練習場を設けて練習を指導。週末は東京の自宅から練習場のある栃木県まで親子で泊まりがけで通った。