甘口辛口

4年ぶりに凱旋門賞参戦の池江泰寿調教師、2度の敗戦で得た経験生かして今年こそ日本の悲願達成を

■9月29日

 1998年の夏、タイキシャトルがフランス競馬のGIレースに出走する直前、同馬を管理する藤沢和雄調教師に、これまでの海外遠征で得た財産を尋ねた。答えは「敗戦に慣れたこと」。指揮官は「日本で頑張っていても勝率は良くて2割なので、確率的には5度行って1勝。今度で5度目(の海外遠征)だから、そろそろじゃないかな」と笑った。

 敗戦に慣れるというと負け犬根性がつく印象だが、藤沢師はポジティブだった。1度や2度の挑戦で負けるのは当たり前。負けに慣れ、海外で戦うためのノウハウを十分に得たときに勝機が訪れる。実際、タイキシャトルはジャックルマロワ賞を1番人気で制した。

 敗戦に慣れても負け犬にならず、苦杯を糧に成長できる者が栄光をつかめるのだろう。日本陸上界の悲願だった100メートル10秒の壁を突破した桐生祥秀もその一人だ。「気持ちが折れそうになるたび、起き上がり方が分かった。そこに成長があったかな」と語っている。

 19年ぶりの日本出身横綱になった稀勢の里もそう。悲願の初優勝を遂げるまで何度も綱とりを逸していたことに「我慢して、腐らずにやってきた。それが、よかった」と振り返った。

 10月1日に行われる欧州競馬の最高峰・凱旋門賞にサトノダイヤモンドとサトノノブレスを出走させる池江泰寿調教師は過去に2度、このレースで苦杯をなめている。2012、13年にいずれもオルフェーヴルで2着に敗れた。この負けを通じて学んだことは多く、「今ならオルフェーヴルを勝たせることができたと思う」と常に話している。4年ぶりに参戦する今回、2度の敗戦で得た経験を生かしてほしい。今年こそ日本の悲願達成なるか。 (鈴木学)

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