■9月14日
「右足甲骨折で全治6カ月」。力士並みの重傷を負った脚本家の内館牧子さん(68)が、秋場所の5日目以降に久々の国技館復帰を果たすという。元横綱審議委員会委員で大の相撲通だが、4月上旬に都内の満開の桜の下で転倒して夏、名古屋場所と無念の全休が続き、ようやく初場所千秋楽以来の観戦がかなうことになった。
長い間つけていたギプスもとれ、今はふつうに歩けるという。座っての観戦もできるが、足の筋肉が落ち、溜り席では自力で立ち上がるのは無理とか。あの悪役朝青龍とも渡り合った横審の魔女としては人手を借りる姿は見せられず、仕切りが手助けになるマス席で観戦するそうだ。
そんな待望の復帰場所は初日から3横綱が休場し3日目から高安、宇良も休場という惨状。さぞ横審時代の歯にきぬ着せぬ批評が、と思いきや…。「格闘技にけがはつきもので仕方ない。稀勢の里のように100%治っていないのに出ては休みの繰り返しになったのは、何とか責任を果たそうとした結果では」と理解を示した。
それより、内館さんは阿武咲や貴景勝ら若手の急激な伸びで「めちゃくちゃ面白い」という。「上がいない間、2人は戦国の若武者のように思い切り暴れ回っている感じ。まだ21歳。期待の若手といわれる御嶽海や正代も、2人と比べるとおとなしく見える。新入幕の朝乃山もイキがいい」と立て板に水だ。
「なかなか次を担う人が出てこない業界が多いのに、これだけ下に人材が出てきて相撲協会は幸せ」とも続けた。興ざめした半面、一気に押し寄せた世代交代の面白さを「いま見ないと」という内館流秋場所の楽しみ方にはうなずけるものがある。 (今村忠)