大阪市を存続したまま現行の行政区の権限を強化する「総合区」制度と、市を廃止して独立した自治体(特別区)に分割する「大阪都構想」との優劣をめぐる議論が熱を帯びてきた。総合区の素案について初めての質疑を行う市議会特別委員会が5、6の両日に開かれ、各党がそれぞれの主張を展開。早ければ10月中旬に開かれる都構想の制度設計を行う法定協議会での議論の前哨戦となった。
総合区は、都構想の対案として吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)が制度案を検討。吉村氏や松井一郎大阪府知事(同代表)が来年秋の実施を目指す都構想の住民投票で反対多数となった場合に、総合区へ移行することが想定されている。
8月に公表された総合区の素案では、現24区を8つの総合区に再編し、民間保育所の設置認可や道路・公園の維持管理などの事務について予算や人員を総合区に移管。区長を特別職に格上げして現在より大きな権限を持たせる。区長の裁量で使える予算も現在の82億円から226億円に増やすことなどが盛り込まれた。
5、6両日に開かれた特別委では、主要4会派が吉村市長や担当者に素案について質問した。公明党の委員は、要望どおり住民の意見を区政に反映させる仕組みが素案に含まれていることを評価。総合区への移行が住民の利便性向上につながると強調した。